「くらしや価値観は常に新しく変化します。現在の価値観に併せて長く使っていただけるモノ作りに伝統的な技術を利用していきたい」と話すのは明治7年創業の竹細工屋5代目山田庸介さん、36歳。
山田さんの工房(竹細工・山満)は熊本市和泉町にあるフードパル熊本・こだわり工房村にある。
10年ほど前にフードパルを建設する際、どうしても工房を開いてほしいと関係者からオファーがあったそうだ。
山田さんは竹細工が有名な人吉市日奈久出身。
高校卒業後は機械メーカーに就職し、ロボットアームや人工義手などの精密機械を作っていたが、家業を継ぐために会社を辞め、専門学校に入学した。
修了生30名の中で5名しか進めない大分県産業科学技術センターに進学。その後師匠のもとで徹底的に技術を学んだ。
平成8年に開催された“新しいくらしの工芸品”で宮崎審査委員奨励賞を受賞、その後3年間連続で入選を果たしている。
「竹細工をはじめて5年くらいまで、竹と喧嘩していました。俺の言うことを聞け、と言わんばかりに無理な曲げ方などをしていましたが、結局後々歪が出てきて、良い作品が作れませんでした。今は竹の言うことをよく聞くようにしています。竹の特徴や性質を読み取り、長所を活かすことを心がけています」と山田さん。
全国誌でも熊本の技術職人代表として取り上げられ、その独自の感性と技術が注目されている。